ネガティブケイパビリティ

医師国家試験に合格しました。
医療というジャンルの中には、興味のあることがたくさん詰まっているのだけど、日本だからかもしれないけど、苦手なことや押し付けられたくない思想も溢れていて、めっちゃ疲れたし、産まれ直したように成長もしたなと思う5年半(1年の休学含めて)でした。

f:id:miyuleilani:20240318083820j:image

来月からは北海道札幌市手稲区にある、手稲渓仁会(ていねけいじんかい)病院で2年間の初期研修をすることになっています。俗に言う、研修医というやつです。色々病院を見に行ってこの病院を第一志望に選んだ理由が、生きやすそうだから。多様性を受け入れようという意志がある病院、人間って以外と医療界に少ないんですが、そういう雰囲気があったからここにしました。
ハルさんが小樽にいるし、踊りの世界にもまた入って行けたら良いなという想いもあり、楽しみです。

f:id:miyuleilani:20240318083903j:image

専攻はどうするの?とよく聞かれますが、今の制度では基本的には研修医2年間を終えないことにはそこまで行けなくて、まずは1ヶ月単位とかでとりあえずいろんな科を2年間まわらないといけません。その先の方向性としては、色々考えているけど、アフリカで医療ができたらいいなと思う反面、日本では小児発達とがんと緩和ケアに興味を持っていて、どれもってなると何科なんだろうなあ〜。と考え中。最終的には家庭医なのかなとも思いますが、しんどさを抱えて生きる日々がある時にそのしんどさが軽くなる手伝いがしたいなとざっくりですがしっかりと思っています。

f:id:miyuleilani:20240318083949j:image
新たな門出となり、20代後半まで医者になることを想像したことがほぼなかった私としては、医者か〜マジかよ大丈夫か?って普通に思います。笑

f:id:miyuleilani:20240318084112j:image
高校時代から、毎日が大変すぎて、人生が長く続くイメージは持てませんでした。ブルキナファソで生活して、そして2年前には皮膚がんを見つけて治療を受けましたが、その2つの経験から、自分の死を以前に増してより近い未来に感じていました。自分の生きていく未来もあまり信じていなかったです。でも、それは、突然のいざという時、例えばブルキナファソ時代にクーデターが起きたから突然に無期限外出禁止を言い渡されたり(大体3、4週間で明けました)、2年前に突然悪性だったから〜とがん告知されたり、次のそういう時に焦らないように、いやいやそもそもそんな生きるって思ってないんで大丈夫ですという予防線を張っておきたくて身につけた、逃げ気味の死生観だったように思います。

f:id:miyuleilani:20240318084229j:image

だけど今はもう一段階強くなって、全然予想してない、衝撃的で例えば最悪な未来が降ってきてもまあその時対応するっしょ別に。って思えてるので、すぐ死ぬんじゃないの?と思って生きるのをやめることができました。生きていれば色々あるけど、何が起きても都度受け止め、悩み、生きていくしかないし、そうしようと思っています。

f:id:miyuleilani:20240318084254j:image

そういう心持ちになれたのは、よくわかんない状態を許容することができるようになってきたからだと思います。滋賀県で出会った緩和ケア医で私の師となった女性がいます。彼女に指摘された様々なことの中で最も私にしっくりきたのが、ネガティブケイパビリティの欠如でした。よくわかんない状態に身を置いておくことが、ずっと苦手でした。白黒つけたい、みたいなことなのかもしれないけど、なんかうまくいってない感じが許せない。でも生きるってそんな白黒綺麗につくようなことではないなってやっと納得しました。よくわかんないこととか、あんまり嬉しくない状態でいるだとか、まあそういうことも含めての日常で、その日々の継続の中で勝手に変化していくものもあって、それで生きてても別に大丈夫なのだという感覚になってきました。

f:id:miyuleilani:20240318084308j:image

突然の変化や制限がとても苦手なことは変わっていないのだけど、打撃を受けていてもまあそれもそんなもんだと思えるようになってきたということかな。例えるなら、パニックにはなるけど、パニックになっている自身にパニックになって引きずったりはしないという感じです。

f:id:miyuleilani:20240318084336j:image

5年半暮らした滋賀県は、本籍をそこに移したくらい愛着を持てました。親元を離れて暮らした初めての日本の地だったせいかもしれませんが、色んな課題が浮き彫りになって、長い時間悩んでいたような感じもありました。

f:id:miyuleilani:20240318084404j:image

滋賀県で一緒に過ごしてくれたみんなありがとう。

f:id:miyuleilani:20240318084436j:image

滋賀→新潟港→小樽港→札幌の手稲

に3日間かけて、犬2匹連れて引っ越してきました。出発の1週間前にドラムちゃん(昨年11月からうちの子になった元保護犬チワワ)が突然体調崩してご飯食べなくなって、結構ドタバタでしたが、ドラちゃんもお薬飲んで(継続中)回復してみんなで来れました。船酔いの薬を犬にしか用意してなくて、犬は元気だったけど人間は吐いてましたが、無事に着きました。江戸時代の上洛を終えたくらい遠かった気分。

f:id:miyuleilani:20240318084458j:image

今日から新生活、札幌です。

空いてる部屋あるので遊びにきてね。